漆黒の闇を、銀色の月が支配する




冷たい輝きが、闇との境界線を溶かしてゆく















≪月蝕≫















彼が、自分へと堕ちてきたとき。




それは、至上の幸福だった。








彼の中が自分で満たされているという悦楽。



自分の中を彼が満たしてくれるという悦楽。








彼を、支配した。





欲望のままに彼を犯し、愛した。



美しい彼を穢したくて、可愛い彼を護りたくて。








彼は、それらを享受した。





与えられる快感に喘ぎ、強請って。



穢される事に悦びを感じて、護られる事に幸せを感じていた。















「ねぇ…俺、邑輝が欲しい…」




まるで幼子のように頼り無げに、そうっと袖を引かれ。



魔法のように甘い呪縛を、彼にかけられる。






それすらも、至福の一因。














自ら求めてくる彼が可愛らしくて、歯止めが効かなくなる。



まだ指の質量にも慣れぬうちに、無理矢理自身を押し込んだ。






受け入れる事に慣れたソコは、狭いながらも懸命に邑輝を迎え入れる。




美しい貌を苦痛と悦楽に歪め、縋る彼は何よりも愛おしい。









「あうっ…!むら、き…もっと、して…?」





痛みすらも快感にすりかえる、淫らなカラダ。



甘い吐息を洩らしながら強請る姿を独占しているという現実に酔い痴れた。







彼の望むままに、容赦無く。



しなやかな肢体を、壊れるほどに突き上げる。





ぎり、と締め付けられる感覚に、眩暈がするほどの快楽に襲われた。









彼の体内奥深くに、精を叩きつける。




彼を穢したことに、満足感を覚えた。







「…っ…、都筑さん……愛してる…」




「ん…っ…おれ、も…」







達したあとの口付けの合間に、言葉を交わして。





邑輝の視界の外で、彼の口許が笑みの形に歪んだ。












冷たい輝きを、闇が飲み込んでゆく




銀色の月を、支配するのは漆黒の闇























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