抱き締めたら、キスをしよう?
哀しみを癒して、寂しさを埋めて。
甘く苦い、優しいキスを。
≪Kiss
you 〜Sweet &
Bitter〜≫
抱き締められた時の、安堵感。
温かくて、心地良くて。
首筋に擦り寄ると、酔うような甘い香り。
魅惑的なその香りは、邑輝によく似合う。
その香りに、銀の視線に包まれながら。
額に、瞼に、頬に、唇に。
優しくて温かな、キスの雨が降る。
閉じていた目を開くと、俺にしか見せない、優しい笑顔があった。
「ねぇ、邑輝」
「何ですか?」
「大好きだよ」
じっと邑輝を見つめて、そう言うと。
邑輝は一瞬驚いたような顔をしたけど、すぐに艶やかな笑みを浮かべて。
「私も、大好きですよ」
その言葉が、妙に嬉しくて。
邑輝の首に腕を回して、そっとキスをした。
少し冷たいけれど、柔らかい唇。
深く口付けると、ちょっと苦かった。
それは、コーヒーと煙草の味。
俺は甘いのが好きだけど、邑輝とのキスなら、苦くても好き。
だから、ね。
「もっと、キスしよ?」
甘く苦い、優しいキスを。
いつまでも、君と二人で。
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