≪二人の夜明け≫
ふと、目が覚めた。
部屋の中はまだ暗く、外の景色も輪郭がぼやけている。
そして、雨に包まれていた。
耳に纏わりつく、音。
他の音が聞こえなくて、不安になる。
耳を塞いでも、音は消えなくて。
この世に、独りきりでいるみたいな、不安。
でも、ね?
隣を見れば、君がいる。
あどけない君の寝顔が、とても愛しくて。
ねぇ、もう独りじゃないよね?
白いカーテンの隙間から差し込んできた光が、夜が完全に明けた事を告げる。
いつの間にか雨は止んでいたらしい。
まだ少し眠たい身体を起こして、カーテンを開けて、この部屋を光で満たして。
窓硝子に雨の名残り。
光に透けて、とてもキレイ。
もうすぐ、愛しい君が目を覚ます。
「おはよ」
たった一言、君の隣で。
ただそれだけで、不安は消える。
大好き、だよ。
Back