もう、目が見えない
視界の全てが、霞んでいく
≪楽死運命≫
寒くて 呼吸もままならなくて
でも抱き締めてくれる貴方の腕の中は
とても温かくて 心地良くて
まだ微かに聞こえる貴方の声は
涙声で 震えていた
優しい貴方は 私の為にも涙を流してくれるのですね
貴方の泣き顔も 美しくて 私は好きだったけど
本当はずっと 貴方の笑顔が見たかった
そう言ったら 貴方はまた 泣くのだろうか
愛される事も 笑顔を向けられる事も
叶わないと知りながら 求め続けていた
向けられるのは憎悪でも 怒りでも
構わないと諦めた筈なのに 何故?
沈んでいく意識の中
ぼんやりと、けれど確かに
ずっと望んでいた言葉が、耳元で囁かれた
狡いな、本当に。
毒づきたかったのに、強烈な睡魔に襲われて
言葉は発せられなくて、一筋の涙と共に。
唇は、笑みの形を作った。
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